東京理科大学理学部第二部は、日本で唯一の「夜間に本格的な理学を学べる」理学部です。都心の神楽坂キャンパスを拠点とし、夕方以降の時間帯を使って授業が行われます。
現役の学生はもちろん、日中は働きながら学ぶ社会人や、退職後に再び学問を探求するシニア世代など、多様なバックグラウンドを持つ人々が集う非常にユニークな学び舎です。

理科大の「原点」である夜間教育
実は、東京理科大学の前身である「東京物理学講習所」は、1881年に夜間学校としてスタートしました。つまり、理学部第二部は東京理科大学の歴史そのものであり、建学の精神を最も色濃く受け継ぐ学部と言えます。
創立当初からの「門戸は広く開けても、卒業は厳しい」という実力主義の伝統は現在も健在で、真の学力が身につく環境が整っています。
設置されている3つの学科
現在、理学部第二部には以下の3つの学科が設置されています。
- 数学科(2S)
解析学、代数学から確率論・統計学まで多岐にわたる分野を網羅し、社会で幅広く活躍できる応用力のある数学的素養を持った人材を育成します。 - 物理学科(2B)
宇宙物理から統計力学、固体物理、生物物理まで多彩な研究室を備え、エレクトロニクスや自然科学の根幹を成す物理学の世界を深く探求します。 - 化学科(2K)
有機化学、無機化学、物理化学を基礎から徹底的に学び、持続可能な社会に貢献するための「物質の本質」を究めます。
理学部第二部ならではの3つの特徴
- 理学部第一部(昼間部)と同等の教育とリソース
夜間学部とはいえ、教育カリキュラムの質や厳しさは第一部(昼間部)と変わりません。教員も第一線で活躍する研究者であり、昼間の施設(図書館や充実した研究設備など)も自由に利用することができます。また、卒業生の約3割が研究者等を志して大学院(理学研究科など)へ進学しています。 - 学費を抑えながら教員免許も取得可能
第一部に比べて学費が低く抑えられており(年間授業料約70万円台)、経済的な負担を減らしながら大卒資格を得ることができます。また、中学校・高等学校の「理科」や「数学」の教員免許取得も可能であり、これまで数多くの優秀な理数系教員を全国の教育現場に輩出してきた実績があります。 - 多様な学生が刺激を与え合う環境
「リカレント教育(学び直し)」の場として機能しているのも大きな特徴です。年齢も職業も異なる学生が同じ教室で学ぶため、一般的な大学生活では得られない多様な価値観に触れることができます。日中は自分のスタイルに合わせて時間を活用できるため、起業やボランティア、自主研究と並行して学ぶ学生もいます。
二部にも立ちはだかる「関門科目」と進級の壁
教育の質が第一部と同等であるということは、当然ながら「進級の厳しさ」も同等であることを意味します。理科大の伝統である実力主義を象徴する「関門科目」は理学部第二部にも設定されており、指定された科目の単位を落とすと次のステップへ進めない仕組みになっています。
実際に、理学部第二部における※進級率(1年生から2年生)は以下の通りです。
- 2025年度:74.0%
- 2024年度:64.0%
- 2023年度:66.3%
「夜間だから大目に見てもらえる」といった妥協は一切ありません。しかし、この高いハードルを乗り越えるために、世代や経歴を超えた学生同士で教え合い、切磋琢磨する文化が根付いています。厳しい関門を突破した先には、どこに出ても通用する確かな「真の学力」が身につきます。
* ※出典:東京理科大学「学部別進級率」より引用
「専門分野」と「教職」の二刀流。教員免許取得のリアル
二部で得られるのは理学の学位だけではない。実は、所定の単位を修めれば中学校・高等学校の「理科」や「数学」、「情報」の教員免許状を取得できるのだ。
ただ、物理学科などの専門科目だけでも目が回るほどハードな上に、教職課程の授業を並行して履修するのは決して楽な道のりではない。夕方から夜にかけての限られた時間割の中で、実験のレポートや模擬授業の準備等に追われる日々が続く。
それでも挑む価値があるのは、ここに集まる学生たちの本気度が高いからだ。例えば、高校生の時に教員を志して入学した学生や、昼間は学習塾や学校で講師として働きながら実践力を磨く学生、さらには一度まったく別の業界で就職したのちに「どうしても教員になりたい」と一念発起して再入学した社会人経験者など、明確な目的意識を持った仲間が数多く机を並べている。
第一線の研究に触れながら「生きた理学」を学び、タフな環境で鍛え抜かれた二部出身の教員は、全国の教育現場で即戦力として高く評価されている。「自然科学の真理を究め、それを次世代に伝えたい」という覚悟があるなら、これ以上ない贅沢な環境がここにある。
次の投稿(2026年10月14日投稿予定)では、実際に理学部第二部に通いながら社会人として活躍している方にインタビューしました。お楽しみに!

