取材

東京理科大学2021年度から「ノート型パソコン等の必携化(BYOD)」導入

 本学は2020年12月10日付けで2021年度の在学生に向け、学生個人所有の「ノート型パソコン等の必携化(BYOD: Bring Your Own Device)」導入を決め、準備するように告知を行った。2020年度までは特定の学科のみノート型パソコンを用意するように入学のしおりに記載されていた。

BYOD:Bring Your Own Device の導入を決定した東京理科大学神楽坂キャンパス

BYODとは

 BYODとはBring Your Own Deviceの略で、企業において職員が個人で所有している機器を職場に持ち込んで業務に使用することを意味している。近年では大学などの高等教育機関において、学生が個人で所有するノート型パソコンを持参して学習に使用することもBYODと呼ばれている。

日本の大学におけるBYODの導入状況

 日本においてBYODを全学部で導入している大学の数は少なく、現時点では進んだ取り組みといえるだろう。BYODを導入すると、カリキュラム再構築による講師の負担や学生個人の経済的負担のが発生するため、多くの大学で導入が見送られていたと考えられる。

オンライン授業の増加が引き金か

 本学でBYODが導入される前からほとんど全ての学生がノート型パソコンを所有し、授業で十分に活用していた。また万が一所持していなくてもターミナル室でパソコンの利用が可能で学習への影響が軽微だった。しかし2020年度は多くの学生がオンライン授業を中心に受講し、その所有の差が学習の進度や効率に大きな影響を与えたのではないか。大学としてオンライン授業における生徒の学習効率を維持するためにBYODの導入を進めたと考えられる。

BYODを有効活用できるか

 BYODを導入することで大学側としてはノートパソコンやオンライン回線の貸し出しを行わなくてもよくなる。これはコロナ禍における大きな負担軽減だろう。一方で本学には手書き必須のレポートが存在する。2020年度はオンライン授業において手書きのルーズリーフを自宅に郵送するよう指示した教員もいた。これらの課題の教育的な効果を一概に否定するわけではないが、指導側の怠慢と指摘されても仕方がない事例も確かに存在する。BYODを導入するにあたってカリキュラムの見直しなどが必要ではないだろうか。学生と教員双方に努力が求められる。