報道

戦う相手はウイルスか人か

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に広がり日本国内でも緊急事態宣言が発令された。そして現在問題となっているのが感染者に対する人権の問題である。

 感染した人は年代や性別、どんな行動を取っていたかについて事細かくニュースで報じられる。これは感染症法第十六条にある 

「厚生労働大臣及び都道府県知事は、第十二条から前条までの規定により収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに当該感染症の予防及び治療に必要な情報を新聞、放送、インターネットその他適切な方法により積極的に公表しなければならない。」 

という記載のためだ。情報を公開していくことで、どこで感染が広がっていて、どこでとりわけ注意しなければならないのかを明確にしていくことができる。しかしながら感染者の情報が挙がるとネット上では誹謗中傷や心ない批判が行われることも多い。 

 感染するリスクは誰にでもあり、感染した当人も感染したくて感染したわけではない。確かに、一部の軽率な行動による感染に対して怒りを覚えることがあるかもしれない、しかしだからといって誹謗中傷をして良いということにはならない。誹謗中傷が広がると、次に感染した人が情報提供を躊躇うことにつながり悪循環となってしまう。また、誹謗中傷に伴って不確かな情報が出回りやすくなっている。感情に訴えやすい情報も多くなっており不本意に拡散してしまうといったこともあるかもしれない。情報を集めるのが得意な大学生が多いからこそ冷静な目で情報を取捨選択する必要がある。 

普段通りの生活ができない今、この危機を乗り越えようと皆で一丸となるのか、怒りのベクトルを人に向けるのか、出口の見えない戦いに対峙する姿勢が問われる。