大学生になり本を読む機会が減っていると感じています。そこで普段本を読まない新聞会企画班のメンバーが読書をして理科大生に本を紹介しようという企画です。人それぞれの違った本への感じ方を共有できたらいいなと思います。
「理科大生に贈る1冊」第3回目に紹介する本は「グリム童話集」です。灰かぶり(シンデレラ)や赤ずきん、ヘンゼルとグレーテルなど有名な童話が沢山載っています。しかしグリム童話の初版の内容は私たちが知っているものとは少々異なります。原作に近い小説版をぜひ読み比べてほしいと思います。
・グリム童話
グリム童話とは、ヨーロッパに広く語り継がれてきた物語をグリム兄弟がアレンジしたものです。1812年に刊行された初版以降、子供向けにアレンジされながら改訂を繰り返し、世界に広がっていきました。類話も多く、読む本によって内容も少しずつ異なります。
・グリム童話集読み比べ
グリム童話集はいろいろな出版社が出していますが、今回は下記の2冊の本を読み比べました。
「グリム童話集1」
出版社:岩波文庫
訳:金田鬼一
1857年刊の原著決定版から削除された昔話をも数多く収録するグリム童話集。どちらかといえば大人向けの本であり、解説も含め書かれています。
「初版グリム童話集1」
出版社:白水Uブックス
訳:吉原高志・吉原素子
この本ではグリム童話を28篇収録しています。初版を翻訳したグリム童話集の中でも特に読みやすく、大人でも子どもでも楽しめるので気軽に読んでみたい方におすすめです。
・灰かぶり
グリム童話の中でも特に有名な童話である「灰かぶり」原作は残酷な話だったということを1度は聞いたことがあるかもしれません。そんな話を今回紹介した2冊のグリム童話集で読むことができます。この2冊を読み比べると、内容も残酷さも全く違いますので是非読み比べてみてほしいと思います。
・グリム童話を読んで
「グリム童話集1」では慣れ親しんだ話も多く収録されており、大変興味深いものでした。子供ども向けに改訂されてきたものとはいえ、怖い話も多く当時のヨーロッパの教育観も垣間見ることができました。日本でも子ども向けの怖い話が数多くあると思いますが、これと同様に子どもを怖い話で教育するようなところがあったのかもしれません。グリム童話は大学生になっても十分楽しめる本なので、是非読んでみてほしいと思います。
新聞会企画班 田中瑞紀
本の紹介
- 「グリム童話集1」
- 訳:金田鬼一
- 出版社:岩波文庫
- 「初版グリム童話集1」
- 訳:吉原高志・吉原素子
- 出版社:白水Uブックス