連載

【短編小説】夢の続き

目が覚めると、じっとりと全身が汗ばんでいる。枕はベッドから落ちて、掛けた毛布はぐしゃぐしゃになっている。 

 またあの夢を見た。自分ではない誰かになって、巨大なサナギから逃げている夢。毎回舞台は違っていて、例えば昔住んでいた社宅だったり、水族館だったり、行ったことのない住宅街だったりする。そしていつも捕まりかけたところで目が覚めるのだ。夢の中で必死に逃げていたからか、それともサナギに捕まる恐怖からか、現実でも布団の中で暴れているらしい。そのうち近くの物をひっくり返しそうで、近頃はベッドの周辺になるべく物を置かずに寝ている。 

 その日の夜もまた、あの夢を見た。夢の中の自分は自分ではない誰かで、病院のような建物の中に立っている。背後から大きな物音がして、ぎりぎり廊下に入る大きさのサナギが現れる。いつものように逃げ出そうと走り出すと、足元のチューブに引っかかって転んだ。 

 まずい、夢が始まってすぐに捕まってしまったことはない。普段なら目が覚めるが、この時間で捕まっても果たして同じようにいくだろうか? 

 そうこうしているうちにサナギはすぐ後ろまで来ていた。そしてそのまま下敷きに────。闇に包まれる。頭上でサナギが小さな水音のようなものを立てている。辺りは依然闇のままである。少し時間が経って、外から羽音が聞こえてきて気付いた。今度は私がサナギになってしまったのだと。 

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