【コラム大会優勝作品】アブラゼミの天ぷら

うだるような暑さの中、耳をつんざくようにセミの鳴き声が頭蓋に反響する。ふと思う、こいつ食ってやろうか。これだけの鳴き声だ、なかなかのスタミナに違いない。国連も先の食糧難を見据えて栄養価の高い昆虫食を奨励している。これは食べるしかない。

調理法だが、まず鍋のお湯が沸騰したら、泣き叫び暴れるセミを容赦なく熱湯へ浸す。下茹での後衣をつけ、低温の油でじっくりと揚げる。

完成。実食である。まず成虫、パリパリとした食感はとても良いものだが、足は少々硬すぎる。ピーナツのようなコクだが少し埃っぽい味がする。次に幼虫だが、これはピーナツである。似たような味というのではない。この世に同じ味の食べ物が存在していることに驚く程ピーナツである。しかし、不味くはないがそれほど美味くもない。あとは調理次第であろう。

さて、あなたはこれを残酷だと感じただろうか。しかし私は知りたかったのだ。生きるということを。人間は植物や動物など命あるものを食し生きている。人間は他の多くの命に生かされ、環境に生かされている。食べるためとはいえ、セミを殺すことに何の抵抗もないわけではない。でもその時私は感じるのだ。命を貰っている。自分はこいつに生かされているのだと。あなたは日々食べることに生を感じるだろうか。心の何処かで、動物を殺すのは可哀想だが、自分の見ていないところで肉になっていれば良いと思っていないだろうか。農業が廃れ、原材料のわからぬものを食し続ける社会に生は存在するのか。

食べることを通して、動物の息遣いや筋肉の軋みを、種から芽吹き葉を広げ実をつける植物の生を感じてほしい。悩み多き現代社会で生きることを見失わないために、私たちが生かされているということを忘れてはならない。

(ともちゃん)

※コラム大会とは新聞会が毎年、夏合宿で行うイベントで、部員の投票で優勝作品を決めている。