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夜空の下の星

駅の改札を抜け、階段を下りていく。いつものように、見知らぬアルバイトが携帯ティッシュを配っていた。目の前に出されたものを、目的と呼べるほどの理由もなく、受け取った。コートにそれを入れ顔を上げると、小さなゴミを拾い、袋に回収している人に会った。50歳前後、女性だった。

「何故、ゴミを拾っているんですか」
「私が拾わなかったら、誰かが拾ってくれるのでしょうか」
「それはわかりませんが、自主的にするなんて、偉いですね」
「そうかもね、偉いのかもしれません。たぶん、私の横を無言で通り過ぎていく人よりは」

夜の駅前。今日も、星のない夜空の下は、明日の二日酔いを気にしながら家路を急ぐ人々で溢れ返っている。だが、同じ空の下で、ただ黙々とゴミを拾い続ける女性がいることに、恥ずかしながら初めて気づいた。

「特に今日みたいな日は、ゴミが多くなるの」

女性がそう話すと同時に、横を通り過ぎた男性が、吸い終えた煙草の残骸を捨てた。頭の中で、何か大切な部分が反応しかけたが、無言でそれを拾い上げる女性の姿を見て、消沈した。「ね」と、笑いながら遠くを見つめる顔を忘れることができない。

「ウチの人には止められてるんだけど、たまにこうやって拾いに来ることがあるの」

ボランティア精神を超えた優しさに、言葉が出なかった。

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書評

重松清「半パン・デイズ」

大人になってからの6年間と小学生時代の6年間は、同じ数字なのに、その密度が大きく違ってくる。これからの私達が送る6年間は、いわゆる経験の積み重ねにすぎないのだろうが、彼らの6年間はまさに学びの塊なのであろう。空を [...]

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