- 2010-03-26 (金) 22:59
- 書評
中学二年生、14才。大人でもなければ子供でもない、微妙という言葉では表せないほどの年齢。僕が14才のとき、自分の事を「難しい年齢」だとか、「思春期」だとか、当たり前のように自分を片づけていくオトナが大嫌いだった。しかし、本書を見て思う、「14才」なんだと。そして、そのような時期に起きてしまった一つの事件。物語は、そんな14才が残した一つの遺書から始まる。
出口のないトンネルを、出口はあると信じてしまう人間の弱さを感じた。光のない真っ暗闇の中を、それでも生きていかなくてはいけない、人間の強さを感じた。同級生の自殺という十字架は、二人の同級生を追い詰めるでもなく、ただじっと、心の中に居座っていた。その静寂さが、物語により現実味を与えている。
「いじめ」と聞いても誰も驚かなくなってしまった現実が、あるような気がする。ニュースで報道される様々な事件を、芸能人の結婚記者会見と同じ姿勢で見ている人は、どれほどいるのだろう。そして、その裏側にある、人生の十字架を背負ってしまった同級生の気持ちを思う人は、もしかしたら、いないのかもしれない。
本書は、「吉川英治文学賞」を受賞した。私は選考に携わったわけではないから、何を基準に選ばれたのかはわからない。ただ、今の時代に、「十字架」を選んだ人たちの気持ちはよくわかるし、悲しい気もする。
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