- 2009-07-02 (木) 21:59
- 書評
繰り返される夢と現実の交錯が、現実を物語が引き離していく。平凡な生活風景から一変し、徐々に物語はSFの世界へと向かっていくのだ。まさに、「夢物語」という言葉がふさわしい、複雑怪奇な物語である。
主人公はパプリカという女性だ。研究所所員という傍らで、夢探偵という仕事をこなしている。パプリカが使用する機械は、現代科学では到底想像することのできないものばかりで、忘れかけていた子供心をくすぐる。夢を舞台にした場面では、まさに子供の頃描いた憧れが存在するのだ。いつかこんな日が来るのではないかと、少々の懐疑心を持ちながらも、それを払拭できるほどの現実感を帯びたSF小説であった。
特に終盤の展開は忘れがたい。次から次へと夢という波が押し寄せ、現実と夢世界のインタラクションが、読者のワクワク感をそそる。それは、神の領域へと踏み込んでしまった人間の科学技術への戒めのように、私には思えた。そして、日々進化することを止めない現代科学への警告を示唆しているようにも思える。
夢という、一見よくみるテーマで描かれている作品ではあるが、それをここまで展開し突き詰めた作品は数少ないと思う。中途半端な終わらせ方は決してせず、最後まで読者を唸らせてくれる作品だ。
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